楽天市場の二重価格表示ルール完全ガイド【2026年版】実績基準・設定方法・ペナルティまで
「当店通常価格 5,980円 → セール価格 3,980円」——楽天市場でセールを打つなら避けて通れないのが、この打消し線つきの値引き表示、いわゆる二重価格表示です。
クリック率にも転換率にも効く一方で、楽天のガイドラインには「その元値で実際に売っていた実績」という明確な数値基準があり、満たさなければ表示が出ない・違反点数がつくといった実害につながります。この記事では、楽天市場に出店する店舗運営者向けに、二重価格表示のルールを「基準の数値 → 設定方法 → 違反時に何が起きるか → 日々の管理方法」の順で一通り整理します。セール申請前のチェックリストとしても使える構成にしてあります。
二重価格表示とは何か
二重価格表示とは、実際の販売価格に、比較対照となる別の価格(元値)を併記する表示方法です。楽天市場の商品ページでは、元値に打消し線が引かれ、値引き率や値引き後価格が強調表示されます。
前提として押さえておきたいのは、二重価格表示のルールが楽天独自の思いつきではないことです。景品表示法は、実際よりも著しく有利だと誤認させる表示(有利誤認表示)を禁止しており、根拠のない元値との比較はその典型例とされています。楽天のガイドラインは、この法律上の考え方(消費者庁の価格表示ガイドラインにある「最近相当期間にわたって販売されていた価格」)を、モール上で機械的に判定できる具体的な数値基準に落とし込んだもの、と理解すると全体像がつかみやすくなります。
つまり楽天の基準を満たすことは、モール規約対応であると同時に、景表法リスクを下げる実務でもあります(ただし楽天基準を満たせば法的に安全、という保証関係ではありません。詳しくは後述します)。
楽天が認める元値(比較対照価格)は4種類
楽天市場のヘルプで示されている比較対照価格は、次の4種類です。
| 種別 | 元値の根拠 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 当店通常価格 | 自店が楽天市場で実際に販売していた価格 | 販売実績基準(直近2週間+8週間中4週間 ※詳細は次章) |
| メーカー希望小売価格 | メーカーが公表している希望小売価格 | エビデンス(根拠資料)の掲載が必要 |
| 参考小売価格 | 製造業者・卸売業者がカタログ等で小売業者に呈示する価格 | JANコードを用いてシステム上で引用 |
| 旧定価 | 時限再販の対象外となった書籍の過去の定価 | ISBNコードを用いてシステム上で引用(書籍のみ) |
実務上、大半の店舗で使うのは上の2つです。
- 当店通常価格: 自店の販売実績が根拠。実績さえあれば商品ジャンルを問わず使えるが、実績の管理が必要
- メーカー希望小売価格: メーカーの公表価格が根拠。自店の実績は不要だが、「あらかじめ公表された」資料(メーカーサイト、カタログ、広告、商品タグ等)というエビデンスが必要
なお、他モール(Yahoo!ショッピングや自社EC)でいくらで売っていたかは、当店通常価格の根拠になりません。実績は楽天市場内の販売実績で判断されます。多店舗展開している店舗が最も勘違いしやすいポイントです。
「当店通常価格」の実績基準——直近2週間+8週間中4週間
本題です。「当店通常価格」を元値として表示するには、次の実績条件を満たす必要があります。
基準の全体像
- 直近2週間に、その価格での販売実績があること
- そのうえで、次のいずれかを満たすこと
- 通常基準: 過去8週間のうち、通算4週間以上その価格で販売していた
- 新商品特例(販売期間が8週間未満の場合): 販売期間の過半、かつ2週間以上その価格で販売していた
ポイントは「直近2週間」と「8週間中4週間」がAND条件であることです。半年前に4週間売っていた実績があっても、直近2週間セール価格で売り続けていたら、その元値はもう使えません。逆に、直近2週間だけ慌てて元値に戻しても、8週間中4週間に届いていなければ同じく使えません。
具体例で計算する
セール開始日を9月1日と仮定すると、判定対象期間はこうなります。
| 条件 | 対象期間 | 満たすべき実績 |
|---|---|---|
| 直近2週間 | 8月18日〜8月31日 | この期間に元値での販売実績がある |
| 8週間中4週間 | 7月7日〜8月31日 | この56日間のうち通算28日以上、元値で販売 |
たとえば「7月中は5,980円で販売 → 8月上旬にお買い物マラソンで3,980円に値下げ → そのまま3,980円で売り続けた」という商品は、8週間中4週間は満たしていても直近2週間の実績が欠けてアウトになります。セール後に元値へ戻し忘れるとこの状態に陥りやすく、二重価格まわりのトラブルで最も多いパターンのひとつです。
見落としやすい3つの注意点
- 欠品期間は実績に入らないと解されている: 実績は「ユーザーが購入できる状態」での販売が前提とされており、売り切れ・販売停止の期間はカウント対象外と解されています。カレンダー上は4週間売っていたつもりでも、欠品が挟まると実績が目減りします
- 通算でよいが、連続ではなくてもよい: 「8週間中4週間」は通算です。飛び飛びの期間を合算できますが、その分、手計算での確認は煩雑になります
- クーポン等での実質値引きにも注意: 元値のまま販売していても、大幅なクーポンで実質販売価格が乖離していた期間があると、元値の実績として主張しにくくなります
逆算早見表——「いつから元値で売り始めれば間に合うか」
実績基準は、セール直前に頑張っても取り返せません。逆算すると次のようになります。
| セール開始日から逆算 | 意味 |
|---|---|
| 56日前(8週間前) | この日までに元値販売を開始していれば、実績期間をフルに使える理想ライン |
| 28日前(4週間前) | 実績づくりの最終ライン。この日から欠品なく元値で売り続ければ「8週間中4週間」にぎりぎり届く。これ以降の開始は原則間に合わない |
| 14日前(2週間前) | ここからセール開始まで元値販売を継続(直近2週間の実績確保) |
つまり、次のセールで使える元値の根拠は、今日の販売価格から作られています。セール前日に確認して間に合うものではない、というのがこのルールの最大の実務的特徴です。
新商品の特例——発売8週間未満の商品
発売したばかりの商品は、そもそも8週間の販売履歴が存在しません。そのための特例が「販売期間の過半かつ2週間以上」です。
具体例で見てみます。
| 販売開始からの期間 | 必要な実績(過半かつ2週間以上) |
|---|---|
| 4週間 | 2週間超(過半>2週間、かつ2週間以上) |
| 6週間 | 3週間超 |
| 3週間 | 2週間以上(過半は1.5週間だが、下限の2週間が適用) |
注意したいのは、特例でも直近2週間の実績条件は変わらず必要なことと、「発売直後にいきなり○○%OFF」という表示は構造的に成立しにくいことです。発売から2週間は元値で売った実績を作らないと、初回セールでの二重価格表示は原則使えません。新商品をセールの目玉にしたい場合は、発売日をセール日程から逆算して決めるのが現実的な打ち手です。
違反するとどうなるか——ペナルティの整理
楽天市場内のペナルティ
まず日常的に起きるのは、表示の不承認です。楽天は登録された二重価格表示をシステムで機械的にチェックしており、基準を満たさない表示は商品ページに反映されません(「設定したのに表示されない」原因と対処は別記事で詳しく解説しています)。
より重いのが違反点数制度です。公開されている情報では、価格表示・割引表示に関するガイドライン違反は違反点数20点が課される場合があるとされています。楽天の違反点数は年間積算制(毎年1月1日リセット)で運用され、累積点数に応じて、ランキング掲載制限・検索順位ダウン・講習受講などの措置が段階的に適用されます。累積が進むと違約金や契約解除に至る運用も定められています。価格表示違反の20点は単独では措置ラインに達しませんが、他の違反と合算されて措置ラインを超えることがあるため、「20点だから軽い」とは言えません。
また、楽天は2025年3月に「二重価格表示のモニタリング強化月間」を実施しており、セール後の消し忘れを含む価格表示は継続的に監視対象になっていると考えるべきです。
法令上のリスク
二重価格表示が景品表示法の有利誤認表示にあたると判断された場合、消費者庁による措置命令や、対象商品の売上額に基づく課徴金納付命令の対象になり得ます。二重価格表示をめぐる措置命令の事例は実際に存在します。モール内ペナルティと違い、事業者名が公表されるため、影響は楽天店舗の外にも及びます。
実害として一番痛いのは「セール機会の損失」
ペナルティ以前の問題として、実績不足がセール申請後・開始後に発覚すると、目玉商品の値引き表示が出ないままセールの初動を迎えることになります。広告費や事前販促が空振りになるこのパターンが、金額的には最も高くつきます。基準の確認は「申請前」に終えておくのが鉄則です。
RMSでの確認方法
自店の表示が基準を満たしているかは、RMSで確認できます。
二重価格表示チェック結果のダウンロード
- RMSにログインし、店舗設定 → 商品管理を開く
- チェック結果ダウンロードから「二重価格表示チェック結果ダウンロード」を選択
- CSVファイルをダウンロードし、商品ごとの判定結果と非表示理由を確認する
反映タイミングに注意
このチェックは、毎日24時ごろにデータが取得され、結果の反映は翌日15時ごろとされています。つまり、今日の夕方に設定を直しても、結果がわかるのは早くて翌日の午後です。セール前日の夜に誤りに気づいても修正が間に合わない構造なので、表示確認はセール開始の2日前までに終える日程を組んでください。
RMSのチェックの限界
RMSのチェックは便利ですが、性格上「登録済みの表示に対する事後チェック」です。次のことはできません。
- 「この元値でセールに出したいが、基準を満たすか」の事前シミュレーション
- 「あと何日元値で売れば基準を満たすか」の逆算
- セール後に実績が崩れていくことの検知(チェックはその時点の登録内容に対して走る)
このギャップを埋めるのが、次章の実績管理です。
実績管理を自動化する——手作業チェックの限界と現実解
実績基準の確認を手作業でやると、商品1つにつき「価格履歴を取得 → 直近2週間を確認 → 8週間分の期間を通算 → 欠品期間を除外」という作業になります。10商品なら根性でこなせても、100SKU・300SKUの店舗では、セールのたびに丸一日仕事です。実際には途中で目視チェックを諦め、「たぶん大丈夫」で出してしまう——これが違反の典型的な入り口です。
手作業で回す場合の最低限の仕組みは次の3つです。
- 価格変更ログを残す: いつ・どの商品を・いくらに変えたかを記録する(スプレッドシートでも可)。楽天の商品ページは過去の価格を遡って見せてくれません
- セールカレンダーからの逆算: 上の早見表(56日前・28日前・14日前)を、参加予定セールごとにカレンダーに落とす
- セール後24時間以内の表示戻し確認: 実績が崩れ始める前に、打消し線表示とエビデンス欄を元に戻す
この手順を1枚にまとめた「セール前 価格表示チェックリスト」(A4・2ページのPDF)を無料配布しています。申請前チェックとセール後チェックの2部構成で、上記の期限早見表もそのまま収録しています。次のセールを予定している方はこちらからどうぞ。
また、この「毎日の価格記録と基準照合」自体を自動化するツールとして、楽天出店者向けの価格記録・二重価格判定サービス「セール番人」を開発中です。全商品の販売価格と販売可能状態を毎日自動で記録し、セール前に「基準OK / NG / あと◯日でOK」を商品ごとに一覧化します。販売実績の記録は過去に遡って作れないため、記録だけ先に始めておける先行登録を受け付けています。
まとめ——ルールを一枚で
- 楽天の二重価格表示は、景表法の有利誤認規制を数値基準化したもの。元値は当店通常価格/メーカー希望小売価格/参考小売価格/旧定価の4種
- 当店通常価格の条件は「直近2週間の実績」+「8週間中通算4週間」のAND。新商品(8週間未満)は「過半かつ2週間以上」
- 実績は楽天市場内のもののみ。欠品期間はカウント外と解されている
- 違反は表示不承認にとどまらず、違反点数(価格表示違反は20点とされる)や景表法上の措置のリスクがある
- RMSのチェックは事後型で、反映は翌日15時ごろ。セール2日前までに確認を終える
- 元値の根拠はセールの8週間前から作り始める。前日に確認して間に合うルールではない
セール前 価格表示チェックリスト(無料PDF)
二重価格の実績基準・エビデンス欄の記載ミス・セール後の消し忘れ確認まで、次のセールでそのまま使えるA4・2ページのチェックリストを無料で配布しています。
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免責事項 本記事は、楽天市場が公開するガイドライン等の情報および公開されている解説情報を、執筆時点(2026年8月)の内容に基づき実務向けに整理したものであり、景品表示法その他の法令に関する法的助言ではありません。楽天市場の基準・運用は変更される場合があるため、最新の情報は必ず楽天市場の公式情報(店舗運営Navi等)をご確認ください。価格表示に関する最終的な判断および責任は店舗様に帰属します。法的な判断が必要な場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。 ※「楽天」「楽天市場」は楽天グループ株式会社の登録商標です。本記事は楽天グループ株式会社が提供・承認するものではありません。